第54回日本文化塾 講演会
将軍側近 水野忠成とその時代
講師 | 福留 真紀 氏(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授・博士(人文科学)) |
日時 | 2018年6月30日(土) 14:00〜16:00(13:00開場) |
会場 | 玉川区民会館 集会室B (玉川総合支所(仮設庁舎)二子玉川庁舎内) |
参加費 | 会員 1,000円 / 一般 1,200円 参加費・資料代として、当日会場にて申し受けます。 |
十一代将軍徳川家斉の側近、水野忠成(ただあきら)。3000石の旗本岡野知暁の次男として生まれ、そこには老中への足 掛かりなどありませんでした。しかし、分家の水野家の婿養子に入り、頭角を現したことにより、田沼意次の息子を離縁した 本家の水野家に迎え入れられることとなります。「今柳沢」と呼ばれて、「田沼の再来」と見なされた「成り上がり」「悪徳政治 家」忠成の実像を、将軍家斉との関係、政治権力の実態、水野家の名家老の横顔などから、具体的に紹介していきます。
講師 福留 真紀 氏 プロフィール/
東京都生まれ。東京女子大学文理学部卒業。お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。博士(人 文科学)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。著書に『徳川将軍側近の研究』(校倉書 房、2006年)、『名門譜代大名・酒井忠挙の奮闘』(角川学芸出版、2009年)、『将軍側近 柳沢吉保 ―いかにして悪名は作られたか』(新潮社、2011年)、『将軍と側近―室鳩巣の手紙を読む』(新潮社、2 014年)、『名門水野家の復活 ―御曹司と婿養子の紡いだ100年』(新潮社、2018年)などがある。
参加者の声
講演のテーマとしては地味ですが、トップを盛りたてて変革を推進する人はどうしても汚れ役を引き受けて悪く評価されがちです。
福留先生のように、こうした人達を冷静に再評価される事が歴史を正しく見る事に通じると思います。
たとえば、徳川が覇権を握ったことで儒教思想に基づく国内秩序が270年も維持され繁栄した面もありますが、織田信長や豊臣秀吉の重商主義が引き継がれていたら、おそらく無理を承知の明治維新や世界大戦で大やけどすることもなかったでしょう。
蛇足ながら、忠臣蔵は事件の50年後に人形浄瑠璃や歌舞伎用に創作されたものでとても歴史を忠実に反映したものとは言えず、作者が当時の武士階級の有り方を批判した作品です。NobuH
退屈せずに2時間を過ごしました。
賄賂がどういうふうに行われていたか、よく分かりました。
武士の就活だったのですね。戦のない時代になってからは、別のところで野心や技量を表現する手段の一つとして。賄賂があったのですね。面白かったです。TO
江戸時代の老中。水野忠成の行状について悪徳ぶりと治世能力の高さの両面からエピソードを取り上げていただき、興味を覚えました。
ところで、忠成には貢ぎ物がたいへん多かったとのこと。
当時の社会では、そのことがどのように評価・批判されていたのか?
それら貢がれた金品は、忠成亡き後どうなったのか?
新潮新書『名門水野家の復活』を読みながら、思いつくままに。TM