第42回日本文化塾 講演会
海外で働く日本語教師
─ その異文化理解
講師 | 足立 尚子氏(24年にわたり国内外の現場に立つ日本語教師) |
日時 | 2015年9月12日(土) 14:00~16:00(13:30開場) |
会場 | 玉川市民会館 第5集会室 |
参加費 | 会員 ¥1,000 / 一般 ¥1,200 |
日本語教師が海外で働く際に、どんなことを経験するのでしょうか。 日本で学んでいる外国人留学生は、日本での異文化を理解し成長しています。 同様に、日本語教師も、海外で働くことによって、異文化に接触し、理解・受容していきます。 また、特にアジアの国々では、過去の歴史に直面することもあり、日本人である自己を見つめ直す機会にもなります。 海外で日本語を教え、自分なりに吸収できたことをお話ししたいと思います。
講師略歴 / 1964年生まれ。神奈川大学外国語学部卒。1991年より日本語教育に携わり日本国内およびマレーシア、ベトナム、中国において 日本語教師を務める。予備教育をはじめ、大学院在籍者、研究者、国際機関研修員、中国帰国者、さらに日本語教師養成講座の授業も担当。 ここ数年は、中国へ毎年出張している。最近の関心は「授業見学とその後の指導によって人材養成は可能か」。 論文に「読解授業における音読に対する学習者の意義」(『日本語教育方法研究会十周年記念論集』2005)
参加者の皆様の声
日本語教育と異文化理解のつながりについて、足立尚子先生が経験なさったことの説明
に耳を傾けつつ、その場の状況をあれこれ想像しておりました。興味深いご講演でした。
足立先生のように正規の日本語教師の資格を持つ先生方のクラスでは、日本語学習の
いろいろな場面で、教師も生徒も自国の文化とは異なる文化に気づくでしょう。
また、生徒においては、日本語によるコミュニケーション力と日本文化の理解力が結び
ついて向上していくであろうと思いました。MT
講師が東アジアの各国で行った日本語教師の経験談を多くのスライドを使って話された。
それぞれの国で生徒達の育った環境(広い意味での「文化」)の違いが反映しており、興味深いものだった。
講師自身の異文化との触れ合いを楽しみながら勤めている様子や、生徒との交流を通じて教える側も成長を感じているとの言葉には、好感を持った。HO
以前にある女性から「私は日本語の教師をしている」と聞いた時、日本に来ている外国人
に日本語で日本語の読み書きを教えるのならそれほど難しいた仕事ではないと思っていましたが、
昨日の足立講師のお話を聞いているうちに、この仕事は真の海外交流を進めるための基本的な事業であることに気が付きました。
氷山の例え話が適切でしたが、旅行の添乗員や旅行案内手引書などが水面上の説明なのに対し、本当の異文化交流は水面下の9割の部分でこれを外国人の日本語研修を通じて、国の風土歴史、国民性、習慣等を理解させる事は生半可な事ではなく、その割には経済的に報われないと言うご指摘は全く同情に値します。
これから30年くらいは日本は人口が減り続けますが、その補充には女性や高齢者パワーの活用、出産の奨励等に加え、海外の人材の更なる導入が必須事項ですので、日本語教師の需要は増加する一方だと思います。
2度目の東京オリンピックの開催が決まり、また日本食のユネスコ文化遺産への登録などで、日本への観光客が目標の2000万人に早くも到達しそうですが、こうしたチャンスをとらえて氷山の水面下の異文化交流を意識して進めることは日本の将来を左右する大きな要素になりそうですね。HN